1.非対称性の壁
日本の街の悪循環構造を理解する7プロセス
①
フライブルクでみた衝撃
ショートウェイシテイの実現
中学生時代、私は家族に連れられて、ドイツとフランスの旅行に行きました。その際にとても印象に残っているのがフライブルクという街です。この街は、街を縦横無尽に走る路面電車や、積極的なゴミ問題に対する取り組みが評価されて「環境首都」と呼ばれる有名な街です。そのような取り組み自体は旅行から帰国した後に知ったことですが、一方私がその街の中で目の当たりにして最も衝撃だったのは、高齢のカップルや子どもたちが、分け隔てなく、太陽がさんさんと照らす旧市街地で生き生きとその日常を謳歌している姿でした。ウィンドウショッピングを楽しんだり、テラスで食事を楽しんだり、まるで太陽を謳歌しているようなはつらつとした姿が印象的でした。しかも年代関係なく!街中を歩いていると、段差が少なく、自動車通行も制限されているため、「歩行者中心の街」が形成されていることがわかります!確かに、これはすごい。衝撃を受けたのを鮮明に覚えています。
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②
様々な壁が移動を阻む
段差ばかりー都市部
帰国後、日本の状況を改めてフライブルクの視点で俯瞰で見ると、「高齢者」や「子ども」という属性にとっては非常に移動しにくい世界になっていることがよくわかりました。平均して郊外住宅地は人口に対するバス停の数や本数は少なく、駅についても一体何段の階段やエスカレータを登らなければなりません。日本は「バリアフリー」ということはあるけれども、それは人間の生活すべてのほんの一部の壁しか取り除いていないのです。エレベータを設置するだけで、本当に世の中の接続性は高まりません。
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③
様々な壁が移動を阻む
自動車依存社会ー地方部
大学生・社会人になって、より多くの日本の都市を自分の身体で体感するために、多くの街へ旅に出ました。そうするとわかってくるのは、多くの地方都市が自動車に依存した結果、①商店街や市役所を中心とした現市街地に人がおらず活気がない、②大規模ショッピングモールを核とした新しい生活圏が形成され、車依存からは到底抜け出すことができないことがわかりました。高齢者や子どもは、誰かの助けを得ながら公共交通ではない「自動車輸送」に頼らざるを得ません。そうすると、周辺の家族や親せきの負担が大きくなるばかりです。
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④
日本の街の構造が
無意識に不健康を呼び寄せる
自動車輸送ばかりに依存して動かなくなる高齢層の健康は悪化の一途をたどります。自ら積極的に運動を施さない限り、平均歩数が減少し、要介護を受ける方々が増えてしまいます。実際に、歩数と健康状態の相関性を指摘する重要な研究論文もある通りです。これは、自らが努力を怠ってしまったから起きた、のではなく、「自動車移動を前提としたショッピングモールを中心とした街の構造」がそうさせているのです。普段の移動も歩かず自動車に頼り続ける。そうなってしまうのは、たいへん恐ろしいことです、が、もう止められません。
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⑤
フライブルクのようには
出来ないことを実感した
大学卒業以来、その根本的な原因である「街の構造」を変えるためにできることはなにか、と常に模索をし続けてきましたが、例えば日本でも近年あった富山や宇都宮の路面電車の取り組みやコンパクトシティなどの事実上の失敗、新しいテクノロジーに対するタクシー業界の反発、それに対するMaaSの取り組みなどを見るにつけ、日本の街の仕組みを変えることには相当なハードルと労力を要する”割”には変わらないという実感を持ってしまいました。残念な気持ちでいっぱいになりました。
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⑥
日に日に感じる
共助の可能性と非対称性の壁
一方で、地方の行脚をしていると、日本人が根源的に有するボランティア精神や助けたい人々が各地に多くそして強く存在することもわかりました。それなのに、本当に困っている高齢者や子育て世代は、実はご近所づきあいがなかったり減っており、外界とのつながりが絶たれているケースが多く、たとえつながっていても、ヘルパーさんや親せき・ご近所に多くの負担がかかっているだけで、共助精神を持った方々とその両者がつながっていないことがわかりました。様々なハードルによって、助けたくても助けることができない。ヘルパーさんに負担が行き過ぎていないか。「介護」という形で、家族や資格者以外がタッチしにくい領域でも「共助」という形で助けることはできないか?
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⑦
非対称性をなくし
地域に利他性を実装させる
助けたい、届けたい人たちと、中に籠ったり外界と接点をもちにくいユーザーを結びつけるプラットフォームをデジタル上で実現し、仮想的にフライブルクのようなアクティブ性を再現できないかと思っています。助けたい人が自然な形で助けることができ、一方で助けてほしい人は非常に簡単な方法で利用することができるようにしたい。